▼ツォルキン 部族と予言 ★★★★★
(Tzolk'in: The Mayan Calendar - Tribes & Prophecies)
版元:Czech Games Edition
著者:Simone Luciani & Daniele Tascini
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昨年の発売から1年を経て待望の拡張が発売。拡張で良くなるゲームは多くない印象なので、普段はあまり拡張に食いつかなかったりするのですが、ツォルキンの拡張とあらば買うしかない……ということで、国内販売を待ちきれず、早速オランダから仕入れました。

しかし、購入してから一ヶ月以上プレイする機会に恵まれず(インストは3回しました……)
やっと、やっと!今回、待望のプレイと相成りました。

「ツォルキン 部族と予言」は、拡張セットで遊ぶにはツォルキン本体が別途必要。
拡張セットには「5人プレイ用追加キット」と「部族追加キット」「予言追加キット」の3つの独立した拡張セットが入っており、全てを入れても良いですし、1~2つ組み合わせて入れても遊べるようになっています。
(ただ、部族と予言は両方入れた方がバランスが良いとは思います)

▼5人プレイ用 追加キット
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5人プレイ用の追加キットには、人数が増えることによって不足するであろうアクション数を補うためのインスタントアクションのタイル+ボードと、+1プレイヤー分のワーカー、マーカー、サマリ、リソースがアセンブルされています。
この拡張は4人以下でも遊ぶことができ、4人以下で遊ぶ場合はダミーワーカーを使用して仮想5人プレイとして遊びつつ、上記コンポーネントを追加する形です。

画像を見ていただけるとわかるように、5人用追加キットには「黄金」のリソースが多目に入っています。これは、初版に封入されていた「黄金」の色使用が変更になっており、2版目から色が「金色→黄色」となっているため、初版でプレイしている方への配慮として金色の黄金リソースを全差し替え出来るように出来ているんですね。細かい気遣いMarvelous!

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ちなみに色の違いはこんな感じです。
金色は木材の茶色いリソースとの色の見分けが難しいという理由で色味が変更になりました。ぶっちゃけコストカットにもなっていると思うのでメーカーとしては一石二鳥だったのではないでしょうか。

また、追加キットには新しい建物も封入されています。これは5人プレイでなくても入れていいのかな?
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どれもクセのあるものばかりですが、今回追加になった新しいシステムとして「継続&スクラップ」の建物があります。基本は継続して四半期ごとに資源がもらえるのですが、タイルを破棄することによって破棄したタイルのリソース分だけ新しく建てるタイルの必要リソースからマイナスできるというものです。なかなか面白いです。


▼部族追加キット
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「部族」の追加はタイル13枚のみです。このタイルに部族の固有アビリティが記載されており、スタート時に全プレイヤーに2枚ずつ配った後、2枚のなかから1枚を選んで自らの部族とします。

部族のアビリティにはかなり強弱があり、強いアビリティの部族が来ないと厳しい戦いが予想されますが、個々のアビリティ自体はどれも通常のツォルキンで「したくても出来なかったこと、あるといいなが形になったもの」そんな感じでワクワクします。

ちなみに、プロモーションで部族は+1タイル存在します
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まあ、能力は微妙なので入れるかどうかはお好みで。「予言」のタイルも1枚含まれて居ます。


▼予言追加キット
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「予言」は第二四半期から第四四半期の3回に渡って災いが設定される拡張です。災いは予め「予言」として公開されており、何が起こるか前もって分かっているため、災いが訪れる前に対処しておく、もしくは対策を考えておく必要があります。
「災い転じて福と成す」という諺がチェコにあるかは分かりませんが、この災いを上手く回避し、更に対策が万全であった場合は、勝利点に繋がります。

ツォルキンは得点ルートが限られており、限られた得点ルートにいかに計画的に綺麗に収束させるかというゲームなので、得点ルートが増えることによってより計画性が複雑になります。非常に悩ましい要素の追加と言ってよいかと。

以上、3つの拡張キットが入って、およそ24~25ユーロ。
拡張キットとしてはコンポーネントの内容も鑑みて割高感は否めませんが、新しい楽しみをこれだけ与えてくれると考えれば妥当な金額かもしれません。

今回は拡張を全て入れて、Raelさん、レンさん、おずさん、わかともさん、私の5人でプレイ。

まずは、基本のインストも含め1時間w
そういうゲームです。

部族の各アビリティも最初に全て説明しなければならないので、基本込みだとそのくらいかかってしまいます。
まあ、英語版なので読めば何となく能力は分かりますが、ルールブックに補足詳細があり、全て目を通さないと細かいところまで手が届かないという罠もあり。

一通りインストが終わり、部族を配ったところ、私は最強(だと個人的に思っている)部族をゲット!レンさんはちょっとゲンナリしていて、他はかなり悩んでいる模様。

とりあえず全員部族と初期資源のタイルを選択してオープン。

私の部族は
  • レベル2とレベル3へのテクノロジーUP時の必要資源 -1
  • ひとつでもレベル3のテクノロジーがあれば、レベル4のボーナステクノロジーがどれでも使える
というもの。恐らく最も使い勝手の良い強い部族。

レンさんは
  • 手番をパス出来る
  • パスした際はコーン+2獲得
かゆいところに手が届く感じですが、「強い」というにはちょっとインパクトに欠ける感じの地味なアビリティ。

おずさんは
  • ワーカーの配置コストが-2 ~ -3 
個人的には地味に強いと思います。ワーカーをたくさん雇っていると相乗効果でよい感じ。実際、おずさんはそのように立ち回っていました。

Raelさんは
  • 1手番でワーカーを2個以上置けば、置いたワーカー以外のワーカーを1個回収できる
クセがある系の強アビリティかと。通常のツォルキンとは全く異なる計画性が求められるので、かなりの玄人向けな気はします。

わかともさんは
  • 1手番に1回だけコーンを1支払うことで、歯車1個分上位のアクションを行える 
これも強アビリティですが、1回だけなので突出しているほどでもない感じ。でも良いアビリティだと思います。

予言された「災い」は、
  • 第二四半期が「黄金」の災いで、黄金を得る際に-1コーン
  • 第三四半期が「ワーカー」で、フードデイの支払いが1ワーカーにつき+1コーン
  • 第四四半期が「クリスタルスカル」で、クリスタルスカルを得る際に「信仰心」をどれか1つ-1する
というもの
最後にクリスタルスカルの災いが来るのがなんともいやらしい……

まずは災いで得点がマイナスになるのは避けたいので、黄金を集めることに。
アビリティを駆使して資源のテクノロジーを3まであげて、余裕の黄金ゲット。

しかし、私とRaelさん以外はあまり黄金に関心を示さず、おずさんはどんどんとワーカーを雇っていく戦法。

第二四半期になっていよいよ災いで黄金が手に入りにくくなるものの、実は黄金を得る際は大抵+コーンの得点があることに気付き、そこまで入手が難しいものではないと判明。もちろんコーン分損しますが、そう何個も要りませんし……

第二四半期の決算で、私とRaelさんは災いを福に転じて+13得点。おずさん以外はマイナスもなく、無難にこなしている感じ……確かに災いにかまけていると他の準備が間に合わなくなってくるので、無難な線で控えておくのも戦法ですね。

おずさんは雇ったワーカーと農業&建物テクノロジー+固有アビリティを駆使してウシュマルの収穫利用が強いアクションを独占して建物を獲得することで点数を稼ぐ戦法に。わかともさんは、信仰心に注力し、私は満遍なく取っていく形。

信仰心をわかともさんにリードされていたので、さてどうしたものか?と第三四半期に入ったところで考えたところ、第四四半期の災いを警戒してか、チェチェンイッツァのクリスタルスカル奉納に誰も動いていなかったため、奉納に動くことに。

第四四半期が終わった時点でクリスタルスカルを持っていないと-5点、クリスタルスカル自体が+3点なので、+8点以上のアクションスペースに奉納できれば最低限信仰心のプラス分以上はメリットがあるという結論。

ここで固有アビリティを駆使してクリスタルスカルをポコポコと生み出す私。そして奉納へ。
コレに続けと、わかともさんと、おずさんも奉納に走るも、タイミングが遅く後手気味に。

終盤でおずさんはワーカーの数を生かすモニュメントを入手し、Raelさんもコーンチップを生かすモニュメントを入手するも、最終的には満遍なく得点を獲得し、信仰心もライオン1位を獲得していた私が83点で勝利。

予言に振り回されて、かなりダメダメなプレイだったので、拡張入りならまだ20~30点くらいは簡単に延びそうな気がしました。

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----所感
拡張としての主張はありつつ、主張しすぎない感じで楽しさと悩ましさはちゃんと増されている。そんな感じで非常に良い拡張なのではないでしょうか?

特に「予言」の拡張は「災い」なんてとんでもなく、高得点への夢が膨らむ拡張です。ただし、前以上に計画性も求められるので、よりフリーク向けになったことは否めず、人によっては長考に入ることもありそうなので、プレイ時間が長くなるのは避けられないのがネックです。

「部族」も強い弱いもありますが、どんなアビリティであれ生かせる戦術は存在すると思うので、引き運を得点に転化する方法を考える過程は非常に楽しいのではないでしょうか?今まで自分がやらなかったような戦術を強いられることになるかもしれませんが、それもまた楽しさのひとつになりえます。

総じて、元々フリーク向けでしたが、今回の拡張を入れることでよりフリーク向けになった事は否めず、その点を受け入れられるフリークであれば非常に楽しい拡張だと思います。

ツォルキンが好きだという方には、是非、拡張入りもプレイしてもらいたいと思います。

そんな感じで、今日も「どうでもいい話」でした。

ではでは :-)