(Die Staufer)
版元:Hans im Glück
著者:Andreas Steding
盤上は6つの地域に分かれていて、これが可変式であるため、組み替えることで毎回違うプレイ感が味わえる仕様。ゲームは5ラウンドに渡って行われ、各ラウンドでは毎ラウンド固定で1地域を対象に行う決算と、盤面の状況を見て条件に合致した地域で行われる決算の2種類が用意され、各プレイヤーは見える目標と変わりゆく目標を読みながら点数を重ねて行きます。
決算では、指定された2或いは1地域で最も多く「公使」もしくは「貴族」のコマを置いていたプレイヤーから多くの得点を得ます。
この際、「貴族」は「公使2個分」として数えます。
色々考えることはありますが、このゲーム、自分の手番で出来ることは大きく分けてたった2つ
- 公使または貴族(あるいは両方)のコマを補充する
- 役職に就く
公使と貴族コマの補充は、5種類ある組合せ(公使+貴族や公使+公使、貴族のみなど)から1種類を選び補充します。補充時に補充するスペースに宝箱があればそれも一緒に獲得します。宝箱目当てで補充ゼロなんてことも一応あったり。
ついでに説明すると、宝箱はコマ補充の際と、土地の役職に就く際に獲得できるもので、使い捨ての特殊能力があったり、勝利点につながるものや、2個集めると永続の特殊能力カードが貰えたりと、かなり強いアイテムです。
特に勝利点については、エリアマジョリティの得点と対なすほど、宝箱での得点は勝利を左右します。
役職に就くアクションは、エリアマジョリティや宝箱を獲得するためのアクション。
各地域3~5つの「役職」が用意されており、 その役職マスに公使か貴族を置くアクションです。
ただし「王の居る地域」から時計回りに数えて遠い地域の役職に就くほど「移動」のコストがかかり、また、役職に就くためにも別途コストが必要で、しかも、コストは他ならぬ「公使」や「貴族」そのもの。
「移動」の際は王のいる地域の左隣の地域から時計回りに目的の地域まで1つずつ消費(ボード上の各地域に捨てる)し、「役職」に就くためには指定された数だけ役職に就く地域から時計回りに1つずつ消費します。
移動だけでも公使と貴族のコマがカツカツになるのに、更に追い打ちをかけて「役職に就く」ためにも公使と貴族のコマが必要になるというわけです。
この辺りまでルールブックを読みながらインストしましたが、インストする私も、インストを聞く他の4人も
「もう既に面白い!」
と絶賛です。
しかも、捨てられたコマ達は、ラウンド終了後に「王」が歩を進めた地域について手元に返ってきます。
王の歩みはゲーム開始時に完全公開。最初から王の歩みを計算に入れて、どの地域にコマをどのように捨て置いて役職を得るか?という部分まで考えて動く……そんなゲームデザインになっています。
なんという無駄のないシステム!
ここまでルールを読み上げて再度
「やっぱこれ絶対面白い!」
と声が挙がります。
実際に盤面を見ながらでないと想像に難いかもしれませんが、非常に美しいシステムデザインです。
たくさんゲームをやっていると、たまに、ルールを読んだだけで「面白い」と確信できるゲームがあります。
システムに隙がなく、どのシステムがどのように機能して、どのアクションとどのアクションが相関関係にあるか?という部分が、テキストと盤面を確認することでスッと腑に落ちる感覚を味わえる……そんなゲーム。
正に、ディ スタウファーはそんな「腑に落ちる」ゲームで、久しぶりにルールブックを読みながらエキサイトしてしまいました。
エッセン新作でありながら、HIGということでメビウス便待ちを決め込み、エッセン会場では半ばスルー(アートワークが綺麗だなぁ~程度のチラ見)してしまった作品でしたが、お陰でひと足遅いこの年末に、今年1番をつきつけられ、嬉しいやら悔しいやら、もちろん嬉しいが8割越えではありますが、良い意味で複雑な気持ちにさせてくれた作品です。
もちろん、プレイ感も期待通り。「いわずもがな」というヤツです。
エリアマジョリティだけでは後半やることがなくなってくることも見越しているのでしょう、各プレイヤーには最終ラウンド終了時にどの地域にどれだけ役職を置いているかで得点する目標カードも用意され、最後までダレることなく、点数を伸ばすことに頭を巡らせることになります。
これだけ考えさせられるゲームにもかかわらず4~5人でプレイしても1時間程度で終わるのも素晴らしいの一言。また、なかなか説明がしづらいですが、アクションと手番順の決定プロセスも独特で非常に唸らされます。
敢えて残念な点を挙げるとすれば、得点ボードが謎の25点区切りでカウントし辛いことと、地域ボードの配色で類似する色が多く、紋章で視認しなければならない視認性の悪さの2点でしょうか?
しかし、ゲームの面白さに直結する部分ではないので些細なものです。
これだけ褒めてしまうのは非常に怖いことですが(合わない人は確実に居ると思うので)それでも褒めずには居られない。今年終わりに日本にやってきたこの傑作を是非、年末年始、プレイしていただきたいなぁと願っています。
そんな感じで、こんなベタ褒めめったにありませんが、まあ「どうでもいい話」でした。
ではでは :-)