ボードゲームは、20代後半から30代後半くらいまでがメインのプレイヤー層であると言われており、実感値としてもその年齢層が多いと感じておりますが、低年齢層も僅かながら存在しており、最近では、当方が主催する「調布のあな」にも小学生(3年生?)が毎月楽しみに参加してくれているようで、大変嬉しく思っております。

比較的プレイヤーの年齢層が高めである業界に於いて、小中学生ほどの年齢層の参加は大変貴重であり、そのままフリークとして歳を重ねることは無いとしても、幼少期に得た経験が、何れかのきっかけで大人になってから呼び起されることはままあることで、ゲーム会への参加がその下地となってくれればと常々考えておりました。
そんなおり、小学校でのボードゲーム会開催のお話がありまして、昨年よりお手伝いをさせていただいております。

保護者の方々としては、親同士、子供同士の親睦を深める会として開催されているかと思いますが、その目的はもちろん叶えさせていただく一方で、前述したような思惑を以てボードゲームの普及が出来れば良いと思った為、ボランティアを買って出ました。

昨年は暗中模索も甚だしく、ただ目の前の子供たちと楽しく過ごすことだけを考える数時間でしたが、本年は2回目ということもあり、若干の精神的余裕も生まれ、また、前回を上回る協力者のお蔭で、多少ではありますが観察する余裕と考察する余裕も生まれました。
次回以降、またお声掛けいただけることを想定しつつ、他の場所でも同じような活動を予定されている方もいらっしゃるかもしれませんので、気付いたこと、気にすべきこと、それら傾向と雑感をまとめておこうと思います。

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■子供はボードゲームの事を何も知らないと知ること

まず最初に感じたのは、今まで私が触れていた「ゲーム会に(能動的に)お越しいただくお子様」は、正に英才教育の施された「手続きを知っている子」「ボードゲームに理解のある子」なのだということです。

大人しく着席し
ルール説明を素直に聞き
順番を守ってプレイする

こう書くと、非常に基本的な、最早ボードゲームとはあまり関係ない次元の話のように見えますが、まずはここからです。
今回インストした小学3年生および小学4年生を対象として見ると、このあまりにも基本的な部分から問題が発生します。当方のゲーム会にお越しいただく9歳のお子様については、全く問題が無い部分だったため、この時点で躓くという懸念がありませんでした。

子供たちは「ボードゲーム」を知らないのです。

「ボードゲームを知らない」というのは、「ゲームのシステムやルールを知らない」ということではなく、それ以前の段階「ボードゲームは直感的にプレイ出来るものが非常に少ない」という部分を知らないということであり、プレイするに至るルール説明などの「手続き」「手順」といったものがあることを知りません。故にルール説明を聞かなかったり、順番を守らなかったりします。

ここは非常に難しいところで、ただ「楽しむ」ということが目的なら本来のルールやシステムなど要らないのかもしれません。彼らは、遊んでいて解らないところがあったとしても、マイルールを作って勝手に遊びます。それで十分に楽しめているのかもしれません。

故に「手続き」を厳格に行うことが正しいかどうかは難しい部分ではありますが、一応ボードゲームを楽しんで貰う会であるため、ルール説明等行っています。
しかし、前述したように子供たちはその必要性を知らないため、興味を持ちません。

ただ、前回を想いかえしてみれば、あまりこの部分が気になるようなことがありませんでした(多少は感じていましたが、それほど大きな障害である認識はありませんでした)なぜか?

前回にあって、今回にないものは何か?どう影響しているのか?ここでひとつ、仮説を立ててみました。

■ボードゲームは親子ではじめる遊び

前回にあって今回にないもの、解り易いところで私は「保護者」ではないかと考えました。
前回は、保護者1に対して、お子様はせいぜい1.3程度の割合で、ほぼお子様は保護者同伴で参加されており、ゲームについてもお子様と保護者の方とで同卓で遊ばれている風景が目立ちましたが、今回はお子様のみの参加が多く、保護者の方1に対して、お子様は5ほどの割合でした。

前回ではあまり見られなかった子供だけの卓も多く、そういった子供だけの卓では顕著に子供たちの奔放さが発揮されておりましたが、保護者の方が同席されるだけで、同席された方が直接的に自分の母親でなくとも子供たちは静かになりました。お子様個々の性分は変わらない故、集中力を持ってルールを聞くまでは至らないお子様もおりましたが、総じて「聞く体制」までは整っていたと思います。

子供の意識としては、知り合いの大人、もしくは直接的な親を前にして、緊張感が生まれただけかもしれませんが、たったこれだけのことでゲームが成立しやすい環境が出来ることは憶えておきたいと思いました。

転じて、やはりボードゲームを遊ぶ環境づくりは家庭から発することが望ましく、子供のころからゲームを楽しんで貰うには不可欠な要素であることを痛感しました。

また、今回の様な外(余所)で楽しむゲーム会についても、お子様が10歳くらいまでは親子で参加していただくことが、楽しいプレイ環境の構築は元より、運営側としてもスムースな進行が可能であるため望ましいと強く感じました。

■子供は飽きが早い

9歳、10歳の年齢は大人が考える以上に「考える力」を持っています。故に想像以上に難しいルールを理解してゲームをプレイすることが可能ですが、いかんせん「集中力」についてはまだまだ身についていないため、飽きが早いです。
これは前述した「ルールを聞いていられない」という内容にも関連しますが、ルールのみならず、プレイ中も集中力が散漫し、「つまらない」と感じた瞬間にゲーム自体を放り投げてどこかへ行ってしまうことも少なくありません。

大体、ゲームとして20分程度、インスト込みでも25分程度のゲームが集中力の限界であり、また、時間もさることながら決して単調にならない、適度に考える力を要求するゲームでないと、これもまた飽きが早いです。

この点から「子供はシンプルで解り易いゲームが良いだろう」という考えは多分に誤解を含んでおり、「シンプルで解り易い」は良い要素ですが、これがお子様たちに「簡単」「単純」と読み取られてしまうと、すぐにそっぽを向かれてしまいます。私も「シンプルなゲームを持って行かなければ!」と、当初決め付けて望んだ節があり、学ぶところが多々ありました。
そんな経験からの失敗例(=子供に喜ばれると思っていたが、あまり喜ばれなかったジャンル)をいくつか挙げてみようと思います。

まず、「パズルゲーム」
パズルゲームは、1ゲームだけなら喜んで付き合ってくれるお子様が多いです。その1ゲームでパズルが完成すれば続けて遊んでくれますし、パズルが完成しなければ「つまらない」と投げてしまいます。更にパズルが出来ない場合は、制限時間内でもパズルを放棄するお子様が多数おり、分かりやすく「出来る」「出来ない」が面白さに直結していることが伺えます。

次に「お絵かきゲーム」
お絵かきゲームもパズルと同様に「上手く描けるか」「描けないか」がそのまま面白さに直結しているようで、あまりゲームとしての評価はされませんでした。ただ、自分の絵と他のプレイヤーの絵を見比べる行為自体は楽しいようで、テレストレーションはそれなりに気に入って貰えた様子です。

最後に「アクションゲーム」
これも意外なのですが、全てとは言いませんがアクションゲームはあまり受け入れられない傾向がありました。前述した2つと同じように「失敗したらつまらない」となってしまうためです。アクション要素自体は喜ばれますが、そのアクションが勝敗に直結すると、失敗したときにつまらなく感じてしまうようです。
そもそもフィジカル的な問題として、子供のアクション精度は低いため、大人が考える以上にアクションゲームは苦戦します。
ただ、1つだけ、アクションによって上に伸びていくタイプのゲームは喜ばれます。これは単に見た目から高揚感を得られているのではないかと考えられます。

■子供は勝敗が全て

子供にあまり喜ばれなかったジャンルを見ると、子供が「面白い」と感じるために何処に重点を置いているのかが見えてきます。

簡単に言えば「勝ち」は楽しくて、「負け」は楽しくないのです。

ゲームである以上至極当然な感情だと思いますし、ボードゲームは勝ち負けを決めるシステムですから非常に素直にプレイしているのだと思います。

故に勝ち負けがハッキリしているゲームが好まれる傾向があり、加えて大人はあまり勝ち負けを重視しないような「ディクシット」でさえ、子供たちは勝ち負けにこだわります。
家族でゲームをプレイする際は「負け役」と「勝ち役」を決めておいて、一方は常に負ける接待役としてお子様の自尊心を満たしつつモチベーションを上げ、一方はなかなか勝てない越えるべき壁として悔しさを植えつけ、やはりモチベーション向上を図る。そんな役割分担が出来れば、上手く子供のモチベーションを維持することができ、ボードゲームを長く楽しんで貰えるかもしれません。

■さいごに

長くなってしまいましたが、前述した内容は一般的な小学校3・4年生の話であって、恐らくこの年代はボードゲームの経験を積むことでもっと精度の高いプレイングが可能な年代です。集中力も、ゲームへの理解度が深まるほどに身についてくると思いますし、今までプレイ欲のなかったゲームにも取り組めるかと思います。

ただ、「初めてのボードゲーム」という話であれば、今まで大人が抱いていたイメージには多分に誤解が含まれていることを伝えたく、また、それが活かせる場面がもしあるならば是非活用していただければと思った次第です。

これらはボードゲームに限ったことではなく、子供たちがどのような行動原理を持っているか?どのようにしたら物事がスムースに動かせるか?といった部分で通じるものが多分にあるかと思いますので、色々なイベントで子供を対象とする際に参考になればとも思います。

最後に、今回子供たちに喜ばれたゲームについては敢えてあまり詳しく触れませんでした。
以前の日記にも多少は載せていますが、今回の日記の思惑として「○○が喜ばれるなら持参しましょう」といった「定番」を伝えることが目的ではないからです。

どのゲームを面白く感じるかは人それぞれであるため、一概に「面白い」「喜ばれる」と言えないという理由もありますが、もうひとつ大事なのは、「子供たちにどんなゲームが喜ばれるのか?」とレコメンドされたゲームを一様に右に倣えでプレイするのではなく、本文を読んでいただいた各人が考え、遊び方を想定し、ゲームを選ぶことから始める。そうすることで「どこに行っても同じゲームが遊ばれている」という状況を回避し、結果的に子供たちにたくさんのゲームに触れてもらえればと思っています。

まあとは言え、失敗することもあるでしょうし、思いのほか成功することもあるかも知れません。
しかしながら、そういった経験が全体としての経験値となり、よりよい環境を生み出すものだと考えています。

みなさんで試行錯誤しオリジナリティ溢れるイベントを作って欲しい、そして、そのうえで失敗談、成功談などありましたら、その事例を全体の経験として次につなげるために、是非お聞かせいただければありがたいです。


そんな感じで、長くなりましたが 今日も「どうでもいい話」でした。

ではでは。